――マズイ

 本当にマズイ

 最悪、私は今日死ぬかもな……






*猫を追い掛けた路地裏*








 早速ですが、私――黒崎は只今絶賛逃亡中です。


 一体何なんだろうかあの御仁は!
 あんな全身白尽くめの服きた顔面蒼白野郎なんぞとは一切合切繋がりはありません、赤い糸もないです、寧ろ私よりも弟の方が面識ありそうですが。

 それにしたって……ぁああああッ!! 
 走りにくいッ!!

 何でこんな日に限って可愛いさ重視のミュール履いてるんだ私っ! こんな事になると判っていたら、たとえユズの薦めだろうと断ったのに……っ!


 ――まぁ今更後悔したって意味が無い事ぐらい理解しているので、とりあえず今はこの路地裏突っ走っていって家に逃げ込むしか選択肢はない。
 ……もう一個ぐらいないかな? 選択肢……。

「遊びは終わりだ、女」

 ああやっぱりそうですよね人生そんな甘くないよね分かってたさこんな人外相手に逃げ切るなんて出来ない事ぐらいああ最後に一度だけでいいから一護と親父の顔面にパイ投げつけたかったなあ。

 男に腕を掴まれたと自覚した途端、私は盛大に爽やかな笑顔を浮かべつつ、人生最大規模の現実逃避をどっぷりと愉しんでいた。


†・‡・†


 初めてその女を見かけたのは、そう昔の事ではなかった。
 ヤミーと共に初めて現世に姿を現した公園に、その女はいた。ヤミーが下らない遊びを終え、虫の息でしかない人間達が一人残らず地に転がっている中、ぽつん、とあの女が一人立っていた。
 切れ長の茶色の眼に程よい健康色の肌、平均より割と背が高かった。女の特徴でもあるオレンジ色の長髪は無造作に緩く束ねて右側から前方に流していた。
 ふと、女の視線と俺との視線が交差する。その途端、

 ――女の表情は、苦虫を噛み潰したように変貌した。

 女のその変化にイラっとしたが、それよりも俺は女に興味を持っていた。人間に興味を持つなぞ、変な話だ。
 持ち帰ろうとしたが……騒ぎのドサクサに紛れて逃げたのか、俺達があの場から撤収する頃には女は公園から姿を消していた。

 
 この裏路地の鬼事は、その延長戦。
 逃がすつもりは毛頭無い。だがしかし、すぐに捕らえるのも面白みに欠ける。
 だからこそ、あえて行ったこの鬼事。
 追いかける者と追われる者。
 丁度、道端で見かけた野良猫を捕まえるように、今現在現実逃避真っ只中の女に一言告げる。

「女、良かったな。良い飼い主に拾われて」

 折角手に入れたのだ。絶対に手放しはしない。
 俺が心底満足した笑みを浮かべると女の顔は、この世の終わりだ、とでも嘆いているような脱力しきった表情を湛えていた。







【言い訳】


だいぶ昔に書いたウルキオラ夢。
……うん、誰これ(笑。

たぶん甘系を目指したんだと…思…われ……(黙れ。


うp:10.4.7