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さあ 開幕の言の葉を紡ごう さあ 物語の糸を結い上げよう 全ては此処から始まった 陽と陰とが歌い紡ぐ物語―――・・・ 第一幕・神楽乃家来日〜前編〜 ブロロロロ―――――・・・・・・ ガタン・・・ゴトッ・・・・ドスッ バタバタ・・・ドゴッ・・ガタンッ!! 「っだあ――――ッ!!!!うるせ――――!!!!」 「テメーの方がウル・・・ブフェッ!!」 「あ?なんだ、居たのかコン」 「・・・・テメッ・・・ブ、殺・・・・・す(ガクッ)」 日曜日。折角の安眠を騒音の所為でメチャクチャにされた一護は、渋々部屋から出てて一階にある居間に降りてきた。 なんだ、誰も居ねぇのか。と一人呟きながら壁掛け時計に目をやる。 ――――AM.11:30 日曜のこの時間帯なら家族全員が居間に居るはずなのだが・・・・、今この場にいるのは一人惰眠をむさぼっていた一護しか居ない。 (珍しいな。親父もいないなんて) そう思いながら一護はソファに腰掛け、テレビの電源を点けようとした―――――その時、 「グットモーニーング!!いっちぐぼぉぁあっ!!!!」 いきなり我が子にとび蹴りをかましてきた父・一心を一護は紙一重でかわし、回避した際に生じたひねりを生かした遠心力を巧みに使い、一心の左頬にカウンターを叩き込む。一心は緩やかな弧を描き、グシャ!!という音と共に床に思いっきり倒れ伏した。 「いきなり息子にとび蹴りかましてくる親がどこの世界にいるんだよ!?」 「・・・い、一護よ。よくぞ、この父を越え・・・た・・・・な(ガク」 この親父・・・・まーたどっかの時代劇の影響はいってやがんな 「お兄ちゃん止めなよ。お父さん疲れてるんだから」 「一兄おそよー」 ムカついたのでもう一発ぶち込んでやろうと一護が攻撃態勢を構えたその時、彼の妹・カリンとユズの制止の声が飛び込んで来た。六つほど離れた双子の妹達に止められた一護は、とりあえず親父リンチを止めておく事にしたのだった。 「ところでお前ら、一体どこ行ってたんだよ?」 「あのね・・・お兄ちゃん、外の音聞いて分からなかったの?私達お隣に越してきた人達のお手伝いにいってたの。今日越してきたばかりで男の人とかも居ないから、家が手伝いに行こうってみんなで決めたんだよ」 兄の質問に丁寧に答えるユズ。明らかに目が笑っていない微笑みを向けられているが、一護はあえて気付かないフリをした。誰だって自ら地雷を踏みたくはない。 なるほど、道理で外が騒がしかった訳だ。そう考えてふと疑問が浮かび上がる。 「――ん?ちょっと待て。何でそこで俺を起こさないんだ?」 一護の言うとおり、確かに男である彼を呼ばないのは可笑しな事だ。体力面、腕力から見ても引越し作業に男手は大変重宝されるのが世の道理である。 「だってさー。一兄爆睡してて全然起きなかったんだよな、ユズ」 「そーだよ。大変だったんだから」 可愛い妹達(シスコンではない。絶対に)にこうも言われると、正直兄の面目が立たなかったりする。 「・・・・・・」 己の不甲斐無さに少々気落ちさせる一護だったが、今からでも何か仕事はあるだろうと思い(もとい、どんな人物が越して来たのかを確認する為)一人外に出た。 道路にはまだ細かいダンボールなどが綺麗に整理されて置いてあり、それに一人の小柄な少女が立ち向かっていた。 少女は目一杯に積んだダンボールを持ち上げると、想像以上の高さだったのか、視界を求めてよろめき始める。 「おっとっと・・・ゎあっ!!」 案の定。少女が運んでいたダンボールの一つが崩れ落ち、それを――― ガシッ。と見事、一護はそのダンボールを受け止めてみせた。 「危ねーな。こういうのは一個ずつ運んだ方が逆に速いんだぜ」 「――へ?・・・あっ!!す、すみませんでしたッ!」 少女は何時の間にか自分の落としたダンボールを手にしているオレンジ頭の青年に思いっきり驚いていた。それと同時に如何対応して良いのか分からず、途方に暮れた表情で青年の顔を見上げる。 「ん?あぁ、俺は黒崎一護。アンタの家の手伝いしに来た家族の残り者だ」 その視線に気が付いた一護が簡単な自己紹介を済ませると、少女は 「ああ〜」 と納得の声を上げた。 「初めまして。私、今日此処に越して来た神楽乃――「貴ッ様ァア――ッ!に何をしとるんじゃ!!」 少女の自己紹介の声を遮って、凄まじい殺気を込めたドスの利いた女の声が轟く。 一体何だと思い、一護はその声のした方に振り返ると―――そこで意識は暗闇に飲まれてしまった。 頭にはあの女の声が響いて反響するばかり。 †・‡・† 暫くして、一護は目を覚ました。 「だ、大丈夫ですか?」 「お兄ちゃん、痛くない?」 「一兄大丈夫?」 「あ?あぁ・・・大丈夫だ」 視界に飛び込んで来た光景は、双子の妹達と見知らぬ少女、見知らぬ天井。 何故自分は仰向けになって寝転んでいるのか。一護は何一つ理解せぬまま、ゆっくりとその上半身を起こす。 やはり、そこは見知らぬ室内だった。――いや、見知らぬ家と言った方がいいのだろう。一護が今居るリビングらしき室内も、すぐ脇にある窓から見る景色も、自宅から見るそれとは違っていた。 未だ彼の頭がはっきりしていない最中、 「さっきはすまなかった。素直に侘びを入れよう」 一度、何処かで聞いたような声が聞こえた。 そちらに視線を向ければ、傍に居る見知らぬ少女と瓜二つの容姿を持った少年が居た。今目の前に居る二人の容姿は瓜二つというぐらい良く似ていた。 二人とも翡翠色の髪と深緑の瞳を持ち、身長もほぼ同じである。だが、一護は――似てないな、と直感的にそう感じた。 少女の方は可愛いといった中性的な顔で、あどけなくや幼い印象。外見で年齢を判断しようとすると、13〜15ぐらいに見える。 一方少年の方は凛々しいといった中性的な顔で、こちらにはあどけなさや幼さなどは何処にも無く、何かを悟りきったような貫禄があるため、如何しても18〜19ぐらいに見えてしまう。しかもその古風な喋り口調も全く違和感を感じさせない。 「えっと・・・・何に侘びをいれるんだ?」 とりあえず、どこから如何話せば良いのかイマイチよく分からなかった一護は、少年が何故一護に謝るのかを訊ねてみた。 「やっぱり・・・・記憶が曖昧になっちゃってる。もう、やりすぎだよちゃん!」 ・・・・ん?・・・・・・ちゃん? 「む・・・め、面目ない」 『ちゃん』と呼ばれた少女?はさっき一護が少年だと思っていた人物だった。 その問題の少女?の格好は、少し大きめのオレンジのラインがはいった灰色のジャケットを着こなし、下は黒のガバッとしたカーゴパンツ。 ―――これが女の格好か!? 一護は思わず心の中で、少年っぽい少女にそうツッコんだ。 「・・・・お、女・・・・なのか?」 「お、お兄ちゃん!?失礼だよ!」 一護があまりにも真面目な顔で聞いてきたので、少女?は「ああ〜」と、納得の声を上げる。 「生物学的識別ではそうだが・・・・まぁ見間違ごうても仕方あるまい。何分、このような身なりであるからな」 という少女は別段怒った様子も無く、普通に受け答える。その表情は微笑んでいるはずなのに、何処か無機質だと一護は思った。 「悪かったな。マジで男だと思った」 「別に構わぬさ。そちらの扱いの方が慣れておる」 「そういやさっき、お前に蹴られたんだっけか?すげぇ効いた」 一護が素直な感想を述べると、は一拍置いたのち「あっはっは!」と豪快な声を上げて笑った。―――でも、やはり、飾り物に見えた。 「いやはや。また何処ぞの馬鹿者がにちょっかいだしているのかと思うてな、本当にすまなかった。その褒め言葉、有り難く頂戴するぞ」 被害者と加害者の位置にある筈の当人達が、何故だか本題もすっ飛ばしてもうすでに和やかに談笑に興じている様は、傍目から見ればもはや懐知る友が語らう姿だった。 「あらあら、もう大丈夫なの一護ちゃん?」 そう言って居間の扉を開けたのは、少女達と感じが似た若い女性。 「あ、どうもすいません・・・えっと・・・」 「我らが母上殿じゃ」 「あ――・・・・お前らの母お―――ぬぇっ!?母親ッ!?」 「あは。お母さんまた若く見られちゃった」 この光景に苦笑する娘二人。どうやら初対面の人には何時の事のようだ。 「あっ!自己紹介がまだだったね。私は神楽乃で、こっちが双子の姉のちゃん。それからこっちがうちのお母さんだよ」 に自己紹介されたは軽く会釈し、母親の方は「”繭さん”でいいからね、一護ちゃん」とちゃっかりご注文。 「ちなみに父・紀一は中国に単身赴任中でーす☆」 「それは明るく強調させて言うべき事か?」 「気にするな一護。この異常なまでの天然さはこの子の地だ」 一護のもっともな意見をが諦めの境地で諭す。 まあ、神楽乃家と黒崎家のファースト・コンタクトは、の男疑惑から始まり、の自前の天然で幕を閉じたのだった。 ◆採譜◇進◆ [反省てか言い訳] 復活版・脱色連載です。 大幅な加筆修正のおかげで混合から脱色連載に移行。混合のままだと良い具合に終わらせられなさそうだったので・・・(コイツの実力のたかが知れるヘタレ発言。 基本はシリアス、ギャグは一つまみ程度。シリアス苦手な方はおススメできません。 08.8.19 |