そう 今始まった

 今・・・回り始めたんだ

 大丈夫 まだ大丈夫だから

 仮面は壊れたりしないから

 今はまだ・・・・壊す時じゃないから
 


第二幕・転校前夜



 此処は空座第一高校校門前。今日から我等が通う学び舎であり―――己にとって初めてとなる学校生活。


†・†・†


 約十時間前―――


「繭様。制服とやらは何処にあるのですか?」
 昼間とはうって変わって、己は他人行儀な呼び方で目の前の女性に尋ねる。
「そこのテーブルの上に置いてあるわよ」
「―――ご無礼な事であると重々に存じておりますが・・・・・・もし女物であったのなら、己は――」
「もう・・・ちゃんたら、ちゃんと男の子の制服にしたわよ。でも何時か・・・お母さんにひらひらのスカート姿を見せてね!」
 そう言った繭様は、ニコニコしながら手を止めていた趣味の手芸を進める。己は何も言わず、ただその小さな――されど大き過ぎる好意と気遣いに静かに頭を下げた。
 例の如くその他人行儀な態度を咎められたが、変えるつもりは毛頭無い。

「お母ーさん、新しい制服ってどこにあるのー?」
 上からパタパタと階段を降りる音と共に姫様の平和過ぎる暢気な声が聞こえてくる。
 この家の常が『これ』。
 そのなんと幸福な事か、とは心の中でそう呟く。

 『これ』こそが――まさしくが望み、夢見続けた理想郷そのものだった。


†・‡・†


「――それじゃあな、二人とも。職員室は向こうだ」
「同じクラスになれると良いな!」
 付き添いしてくれた一護とルキアと玄関で別れる。如何やら職員室と彼らの教室とは逆方向のようだった。
「ああ。案内感謝するぞ二人とも」
「本当にありがとー。またあとでねー!」
 二人に手を振り先を行く姫様の後を早足程度に追いかける。

 右手にはカバンを、
 左手には護身刀を、
 そして心にはあの日の誓いを――

 ――守ろう、
 そして――果たそう。

 他の誰でもない、大切な家族の為に・・・・・・。





採譜


[反省てか言い訳]

 お姉ちゃんにとって、”家族”とはまさに神にも等しい存在なのです。だから”家族”の為なら頑張れる、”家族”の為に何かしなくては・・・そんな、形に拘る女の子です。
 一方、妹ちゃんにとって”家族”とは”お互いが傍に生きる”存在。だからお互いがお互いを思い合ってればそれでよし、という具合に、姉とは逆に明確な形を必ずしも求めない子です。 



08.8.19