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全て――― 上手くいくなんて思ってはいなかった 思い描いたとおりの・・・・・・ キレイなものにはならないと思ってた でも――― それでも――・・・・・・ ――――君が居てくれれば・・・それは思い描いたものだと思えたんだ・・・・・・ 其の十一・やさしいひと〜真田主従〜 ――上田城・東城壁。 城壁の上に腰掛け、何をするでもなく・・・ただ呆然と空を見上げていた。 「・・・・・・・・・・・・」 あの日――― 青龍によって語られた、の出生話を聞いたあの日。 の突然の失踪から―――もう丸一週間という時間が経過していた。 †・‡・† はっきり言って、俺は政に疎い。軍議ならまだしも、同盟云々の決まり事を定める会議なんかには今まで出席すらしてこなかった。 『幸村、良い機会だからお前も出ろ』 そうお館様に言われ、一回目の会議には出席したのだが・・・。まぁ・・・結果は自分で思っていた以上に酷かった。あまりの話の訳の分からなさに知恵熱を出して倒れてしまい―――結局、それ以降出席する事事態許されなくなった。 出席させてくれと突撃すれば、これまたお館様に迎え撃たれて森まで吹き飛ばされた。 出席していた佐助の情報によると、同盟準備は着々と進んでいるらしい。あとは全ての取り決めを、同盟の仲介役――もとい発案者――であるが承認するだけなのだそうだ。 ――正直、悔しかった。 他の議題ならばいざ知らず、仮にも弟分の願いが上手くいくかどうかの瀬戸際の会議。そこに貢献こそ出来ずとも、せめて―――その成り行きだけでも見届けたかった。 そう思うたび、が城を飛び出したのは自分の所為なのだと思えてきて、余計に気分が落ち込んでしまった。 「・・・はぁ・・・」 らしくないと、俺自身そう思う。 しかし―――少しでもこの心内に凝ごった自己嫌悪の塊を吐き出したくて、何度も溜め息を吐き出した。 ――それでも――― ――結局、それが薄まる事なんてなかった。 「あらら〜。らしくないな〜旦那」 思っていた事を言われたからだろうか。何となくそのお気楽調子の言葉癪に触った。 ほんの少しだけ、億劫そうに上体をそらせ見上げれば―――そこには何時ものにへら顔をした腹心の忍びがいた。 「五月蝿いぞ佐助。俺を笑いにでも来たのか?」 「何拗ねてんのさ―――ホラ」 佐助は、じゃーん☆、と自分で効果音を付けながら背後から団子を取り出した。それは、普段なら没収されるくらい大量の団子が山と盛られた大皿だった。 其の光景に思わず、うっ、と顔を顰めてしまう。いくら大好きな団子だからといってもまるで食欲が湧かないのだが、そんなことよりも――― 「・・・・・・ど、如何したのだ?佐助?」 何時もの口うるさいおかんではない。まるで別人だ。 白昼夢でも見ているのかと思い、佐助の頬をつねろうとしたら逆に拳骨が降ってきた。 「〜〜・・・ッ!な、何をするのだ佐助ッ!!」 「あーあ、全くさぁ・・・ねぇ?せっかく人が親切にしてあげたのに。あー、俺様すっごく優しいな〜」 「???」 この仕打ちのどこに優しさとやらがあるのだろうか?ここに至るまでの行程とやらを、一から十まで懇切丁寧に教えて欲しいものだ。 「へ?わかったでしょ?」 何時心の内を読んだのか、佐助がきょとんとした顔で疑問に答える。 「だから何なのだ、俺には訳が分からないっ!」 声を荒げて答えれば、佐助は呆れたように――― 「これが夢なんかじゃないって、分かっただろ?旦那」 「――ぁ――」 完璧に―――不意打ちだった。 突然の事に、何を言うべきかすら分からなくなった。 何も言い出せないままでいると佐助は、ヤレヤレ、などとボヤきながら、ドカっと隣に腰を下ろした。 「旦那、これは夢じゃない」 「・・・・・・そんな事・・・・・・分かっている・・・・・・」 佐助が自分の方に振り向いたのに気付くが、俺は佐助の顔を正面から見れなかった。 佐助の顔を見るのが、怖かった。 それでも気になって、横目でちらりと見れば―――その顔には、どこにも・・・あのにへら顔はなかった。 ―――俺には―――それしか言えないのだ。 まるで言い訳でもするように心の内で呟く。 それでも―――悔しくて悔しくて・・・仕方がなかった。 「が歩んできた道も、背負っているものも・・・・・・全部、夢なんかじゃないんだよ。旦那」 「―――」 ―――分かっている! しかし、それが口に出る事はなかった。 それどころか――― 「俺は・・・・・・に何かしてやれるのか?」 ――なんて、馬鹿な質問だろう。 自分で自分を罵倒したくなった。こんな大切な事を、他人の采配で決めようとしてる。卑怯だ。 こんな人間は―――あの藍紫の少年の兄貴分になぞ、まるで相応しくないではないか。 「さてね、俺様は俺様さ。旦那の事は信頼してるし信用もしてる―――でも、俺様は旦那じゃない。だから俺様じゃ無理」 だから、佐助に正論を言われて、余計に胸の内が苦しくなった。 「・・・ああ、分かって―――」 「でも」 否定の声に反応して、佐助の方へと振り向けば――― 「旦那は何時も通りにしてればいいじゃない?だってさ、あの子――は笑ったんだろ?俺様はまだ一度も、あの子が笑った所見た事なんてないんだからさ」 何時ものにへら顔の忍びが、笑って自分の頭をポンポンと叩いてた。 何度も頭の上を弾む鋼手甲で覆われた手のひらからは、伝わる筈のない、心地良い熱が伝わってくるようだった。 目頭がじわじわと熱くなってくる。 今の今まで、まるで理解出来なかった佐助の優しさとやらに、感動で胸が一杯になりそうだった。 しかし――― 「――おかんっ!!」 「だからおかん言うなってのッ!!」 再び降り下ろされた拳を前に、胸一杯の感動は霧散して消えていった。 †・‡・† 「―――あそこだ!やれッ、元親!」 「へいへい」 †・‡・† ドォォオオ―――ンッッ!! 突然の爆音と共に、幸村達がいた東城壁が瓦解した。 「ななな何事だ!?」 「っちゃー、派手に壊してくれちゃ・・・って――― ・・・・・・ぇええ〜、うそぉお〜・・・・・・」 爆音の瞬間、とっさに城壁を降りた二人に外傷はない。飛来する破片も返り討ちを喰らい、ことごとくが塵芥に帰している。 問題はそこではなく―――その、城壁外の林。 そこには物見櫓以上はあるであろう巨体を持ち、大仰な大砲やらを搭載した、鉄の鎧に覆われたからくり木馬があった。 ―――名を、滅騎という。 その巨体を惜しげもなくさらけ出した滅騎は、二人目掛けて再び砲撃を始めた。 一度に打ち出される弾数は一桁だが、一発一発がやたら殺傷能力が高い上に通常のものに紛れて爆弾まで発砲され、反撃どころか近寄るのも難しい。 「あれは何だ佐助!」 「おいおい冗談だろ・・・っと!」 滅騎からの砲撃を逸らしながら対応はするものの、二人は目の前の事態に追い付けていなかった。 「おそらくこいつぁ長曽我部軍のからくり兵器」 「狙いは・・・お館様か政宗殿のどちらかであろうか?――もしや、同盟を嗅ぎ付けられた!?」 「その可能性もあるけど、多分違うね。あのからくり兵器以外の兵力が見当たらない。初撃ですでに奇襲は成功しているのに、如何して増援が来ない?如何見たってアレは、的にしてくださいって貼り紙貼ったかかしも同然だ」 同盟を嗅ぎ付けられたと焦る幸村を、佐助がおちゃらけた――けれども的確な分析で宥める。 「しかし佐助、例えが間違ってるぞ。かかしは砲撃したりしない」 「ちょっとアンタ黙ってて。―――しかし、何だって今こんなところに西海の鬼が・・・・・・まさか」 何かに気づいたように、佐助は驚異的な反射速度で崩れた城壁を駆け上がる。 まるで無機物のような、それでいて肝心なところは獣のような。あらゆる感覚を総動員して目標を捜索する。そして――― ドォオーン! 佐助目掛けて発射された爆弾が城壁に直撃し、同時に爆炎を周囲に撒き散らす。 「佐助ッ!」 塵煙が辺りを吹き荒らし、幸村の視界を奪う。 ふと、 「うぉおおーっ!?」 幸村の体が上方へと引き上げられる。 乱暴に降ろされたのは、これまた城壁――ではなく、そのすぐ脇にある竹林だ。 飛び出した勢いを殺せぬまま、幸村は竹林に背後から突っ込んだ。 ドウッ!! 大竹に激突して動かなくなった幸村の傍に、音もなく犯人が着地する。 「あ、ごっめーん旦那(汗」 「痛いぞ佐助ぇ――ッ!!」 勢い良く幸村が起き上がって抗議すると、丁度二人の額からゴッっと鈍く響く音がなった。如何やら勢いが良すぎて頭突きをしてしまったらしい。おかげで二人共頭を抱えて悶絶している。 最初に立ち直ったのは佐助の方だった。如何やら特殊な形をした額当てがダメージを軽減してくれたらしい。 「だからごめんって!今はそれより旦那!ここ任せても大丈夫だよね?」 「ん?勿論だ!・・・しかし、佐助はどこに行く気だ?」 「ちょっと。このバカ騒ぎの主催者のところにね」 「は?」 何とも間抜けな声を幸村が上げる頃には、件の忍びはもうその場には居なかった。 |
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ども。お久しぶりです。地味に生きてます(いきなりか。 突然ちゃんが失踪しとりますが、話すっとばしちゃったわけではございません。次の次ぐらいにネタ明かしができるはず! 今回は面白いくらいに真田主従しか出ておりません(笑。 私的ですがこの赤主従、『熱血=優しさ』の方程式がなりたってしまうくらい、優しさ成分が多い気がします。 ユッキーは直球型。 おかんは間接型。 ―――みたいな?(間接型ってなんだ。 とりあえず、次回は(高確率で)森の妖精さんが出てくる・・・はず!! |