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祝詞と共に生まれし君よ 『世界』を救う為だけに生まれた祝詞と共に生きる君よ 君が為の救いは何処へ・・・ 其の八・『とがおい』の戦い〜当人とその他との温度差〜・後編 辺りを埋め尽くしていた白い光が徐々に薄れ、視界が晴れていく。 そして、その先に佇むのは藍紫の子供――――()であった。 肩を上下させてつく息は不規則で弱弱しく、着ている着物は所々が焼け焦げていた。微かに震える身体を必死で支えながら、それでもは真撃を帯びた形相で彼等から一瞬たりとも目をそむける事なく見つめている。 その表情に、つい先程まで闘おうとしていた少年と佐助の身体が強張ったのが、周りの目からでも容易に窺えた。 無言のまま、は少年と佐助の居る場所へと歩を進める。 少年の目の前まで来ると、は少年の目を見つめながら、ぱしっ、とその頬を平手で打った。 「玄武・・・・答えろ。如何して・・・・・・・如何して殺そうとしたんだッ!!」 静けさが支配する戦場に、の怒声が響き渡る。その音量の大きさに周りに居た兵士達が驚いていたが、彼女の近くに居る少年等にそんな事を考えている余裕もない。 それでも少年――玄武は訊ねる。 『・・・じゃあお前は・・・あんな奴等を、許せと?殺さず・・・救えと?』 自分達に非があるのか、と。 彼女は簡潔に、けれども感情的にそう答えた。 「そうだ。殺しては・・・いけないんだ」 玄武にとってそれは分かりきった返答だった。予測していた回答がそのまま返ってきただけの事だ。 しかし玄武の身を襲った感情の波は、呆れでも侮蔑でもなく、正答した事からによる優越感でも得意感でもなく、 『ふざけるな・・・』 ――――如何しようもなく沸き起こる、 優しさ故の・・・もどかしさ。 『何度言ったらお前は分かるんだ!あれだけの仕打ちを受けて、あれだけの冤罪をッ・・・咎を押し付けられて、如何してお前は奴等を憎まないんだ!!』 玄武は頭一つ分ほど背が高いの両肩を掴み、彼女を諭そうとする。 彼女が持つ優しさが――恐ろしいまでに歪である事を。 『いいか、人間は毒物!奴等は「世界」にとって百害あっても一利も無い劇薬だ!自分達の犯した大罪くらい自分達で償わせろッ!・・・お前が身代わりになる理由が・・・一体、何処にあるんだ・・・ッ!!』 は何も言わず、縋りつく玄武の言い分に黙って聞き入る。 この説教も随分久しぶりに聞いたな、と感慨に耽りながら、は目線だけを後方から近付いてくる朱雀に向けた。朱雀の表情や先程の言葉から察するに、やはり彼女も玄武と同じ考えのようである。 自分には償うべき罪など無く、背負うべき咎も無い。 と彼等は何時だってそう言明する。 そんな彼等の心遣いを素直に嬉しいと感じる。時々、自分は人並みの存在になれたんじゃないかと思う時もあるほどだ。 けれど―――実際にそんな事は無い。それほどに自分は、自惚れる事も許されぬ存在なのだから。 「ありがとう―――でも、 私は、『咎を生み出す者』――『咎生い』なんだ。全ての罪は、罰は、咎は・・・私から生まれ出でるモノ。・・・・なら、私が償わなければ。生まれてきたその全てを、私が償わなければ・・・・」 ―――皆を自由にしてあげられない。 とは慰めるように玄武の頭を優しく撫ぜ、精一杯の笑みと共にそう言った。 告げられた玄武は、もう何も言わない。 黙りこくったままに抱きつき・・・小さく、小さく泣き始めた。それをは幼子をあやすように「よしよし」と再度玄武の頭を優しく撫でる。 彼女等以外の者達は、ただ・・・見守る事しか出来ないで居た。 †・‡・† 「両大将方に、お願いがあります」 幾分か大人しくなった玄武を朱雀に預け、は幸村に数秒遅れて登場した信玄と、足の怪我を小十郎に手当てを受けている政宗に面と向かって言葉を紡ぐ。 前髪から覗く真紅の瞳はからは先程の動じた様子は見る影も無く、すでに健在であった。 「申してみよ、」 「では、 ・・・我と一勝負して頂きたい」 「・・・What?Partyだと?」 の予想外の発言に政宗は目を丸くし、思わず驚きを声にして出してしまった。 はで「パーティ?・・・何が?」政宗の言葉に出てきた単語の意味を考え、それ故に混乱していた。その様子に小十郎は軽く溜息をつき、政宗語の解説を懇切丁寧にに教えてやった。 『party』=『戦・勝負』という方程式を理解すると、『ああ〜、成程ね』というような表情を浮かべながら政宗を見つめる。その純粋な眼差しを向けられている政宗は、何故だか身体のあちこちがむずがゆくなった。 「して・・・一体何で勝負しようというのだ?」 「ん。今から我が口にする言葉を、貴方方両軍への公文申請として受け取って頂く。内容は『武田・伊達・両軍の同盟協定』。その成立条件として――― 『我が一切の負傷者の救済を果たす』」 の大胆不敵な発言に、今まで押し黙っていた兵士達がざわめき出した。しかもあまり好意的でない雰囲気である。 そんな周囲の変化にも、は自分が口にした言葉を取り下げるような事などせず、信玄と政宗からの返答を静かに待っている。真紅の輝きは、依然健在のまま。 「――・・・分かった。御主の好きなようにするがよい」 最初に折れたのは、何と信玄だった。 政宗・小十郎は勿論、武田の兵士達も主の決定に戸惑いの色を露にする。一体何を考えているのか、と言いたげな空気が周囲に充満していったが、信玄も同様、自分の言葉を曲げる気はないらしい。その姿勢に幸村と佐助だけは誇らしそうに表情を喜色に染める。 年長者の信玄がそのように潔く承諾してしまったら、政宗も承諾しなければ男としての格を下げると言うもの。それにこの勝負をきっかけに武田との関係を伊達にとって有益なものに変える良い機会かもしれない。とういう思惑を抱きながら、政宗もの提案に同意した。 ――事は、全て整えた。 は着物の両袖を破り捨て、巻かれていた包帯を乱暴に解く。その下から顔を覗かせる夥しい数の凡字のような文字群の刺青は、異様な淡い光を放ちながら鼓動を打つように揺らめき光る。 が何か呟くと、それまで彼女の傍に控えていた玄武と朱雀が緑と紅の光に姿を変え、彼女の喉に緑の光、背中に紅の光がそれぞれ収まってしまった。 光が彼女の身体に収まると、彼女を始点に大地に四色の鮮やかな紋様が浮かび上がり、そして――― ♪還れ、還れ、還れ 此処に還れよ ♪戻れ、戻れ、戻れ 『世界』よ戻れ ♪痛みは此処に 『世界』に癒しを ♪与え、与え、与え 『世界』に安堵を ♪賜れ、賜れ、賜れ 『とがおい』に業を―― の紡ぐ祝詞に反応し四色の紋様が辺り一面に広がっていく。しかも不思議な事に、その紋様の放つ光を浴びる度負傷者の傷口がみるみる薄れていき、祝詞の最後にはもう負傷者は何処にも居なかった。 まさかこんな事が可能だとは露とも思っていなかった兵士達は驚きのあまり混乱し始め、また周囲が騒がしくなった。勿論これには政宗や小十郎、幸村に佐助も驚きを隠せない。 奇跡が・・・起きた。 そう―――皆が一頻りの感動に浸っている最中、 「・・・そろそろ止めぬとまずいな」 信玄だけが冷静にの事を見つめ、信玄が顔色を変えて一人の元に走り寄ろうとしたその時――――、 ドサ、という音を立ててはその場に崩れ倒れた。 彼女の纏う刺青は、全てどす黒く変色していた。 |
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どうも、ヒーローズやってたら2がやりたくなった理です(08.9.9現在。 其の八です。 話数的には二桁突入。やっとちょっとした区切りに行き着きました。やー、長かった長かった。 今後はおそらく上杉宅が出張る気配が満々です。いつきちゃんも登場!ついでに愛しのこじゅさんの出番も増やせたら万々歳です!! 更新速度は遅いですが、何卒これからも宜しくお願いします(平伏。 (最新加筆修正:08.9.9) |