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人と人との繋がりは鎖のようなものだ 『とがおい』が夢見る物語もまた・・・鎖のように繋がり、続いていく 鎖は役者達 『とがおい』は―――その、最初の楔 其の八の弐・結びついた輪〜思考と価値観〜 ()が神楽舞を終えたその頃。 瀬戸内の毛利元就と長曽我部元親は厳島からその光景を目の当たりにしていた。 日光とは全く異なる四光。それは閃光ような一瞬間の輝きを十数分間持続させた後次第にその勢いは弱まり、すぐにそれ以前の空の色だけとなった。 「一体全体何だったんだ、ありゃあ……。なぁ元な…?」 先程空を覆った四光について元親が元就に話を振り、体をそちらに向けると…そこには呆然と何処か遠くを見つめている元就の姿があった。 「――つけた――」 「ああ?もっとデカい声で喋ろよ、聞こえねぇーだろ」 ぼそり。と呟いた元就の言葉を聞き取れなかった元親が聞き返す。 元就が元親の声を聞き取っていたのかは甚だ疑問ではあるが 「――やっと、見つけたぞ…『咎負い』」 と、元親の問いに答えるかのように、それでいて元親の目を全く見る事なく元就が言葉を発した。 ――今までで一番生き生きとした声だった ――今までで一番、喜びに満ちた声だった 要求した筈の当の本人が驚き焦り、その慣れない不思議光景の居心地の悪さに思わず後退りしていた。 しかし此処はアニキ。敢えて『勝手に話を進める』的な空気を無視して「ちぃーと海が時化って来たな。さっさと帰ぇるぞ、元就」強引に元就を船に押し込めようとする。 が、不思議と元就はそれに何の抵抗も示さなかった。それどころか元親に背中を押されていたのも最初だけで、後は自ら進んで船に乗り込んで行くではないか。 そんなツンデレらしからぬ素直な元就に、元親はちょっと泣きそうになった。 「何をしておる!さっさと船を甲斐へと出さぬかっ」 「へいへ……ぃ?」 ―――ああ、やっぱコイツ我が儘だ。何も変化ありませんし更正もしてませんよ。 とか思いながら出航の準備を進めている最中、はたと元親は手を止めた。 ―――今、何つった? 「…おい、元就。お前今、『甲斐』って言ったのか?郡山城じゃなくって?」 「何度も言わせるな、さっさと甲斐へと進路をとらんかッ!」 元親の確認を含めた問いに元就はさも当たり前だ、とでも言うように声を荒げて元親を急かす。ついでにその目はものっそいダメな子を見るような目だったので、元親はまた泣きそうになる。 しかし元親は何故こうも元就が甲斐に行きたがるのか見当もつかない。 予備知識も何もない元親は次第に苛立ち始め、今まさに元就に理由を問いただそうとしたその時―― 「『咎負い』が…『咎負い』がそこに居るのだぞ!? じっとなぞしておれるかァッ!!」 元親が求めるよりも先に、普段声を張り上げる事のない元就が大声を出して答えた。 説明としてはだいぶ必要事項が欠けているが、それでも伝えようという誠意はあった(と思う。 元親はチッと舌打ちし、 「甲斐に着くまでにキッチリとその辺の事情聞かしてもらうからなっ!」 次の瞬間には部下に甲斐へ最短距離で行ける海路の指示をしていた。 この男、誰に対してもアニキであった。 こうして毛利元就と長曽我部元親は甲斐へと出航した。 一人は何も知らず、 もう一人は一方的な理解が為――― 『咎負い』の下へといざ行かん。 †・‡・† 『とがおい』の光にあてられた智将と鬼が、それぞれの思考の元、己が道を選んだように―――他の役者達もまた・・・『とがおい』を始点に思考し、己が道を選んでゆく――。 「ほー、何じゃいありゃ」 『とがおい』の光を見て、老将は大太刀を振るう手を休める。 その瞳には、ただただ『温和』な色が広がるだけ。 「オー、何でショウネー?アレー」 『とがおい』の光を見て――宣教師は不思議だ、と笑った。 その瞳は『疑問』にそまり、その後――光を『対』と認識した。 「キレイだなー。ねぇー信長様ー、アレなんですかー?」 『とがおい』の光を見て、童は猫のように笑った。 その瞳に、ただただ『好奇心』だけを詰め込んで・・・。 「アレは一体・・・上総介様?」 「・・・ほう。何と神々しく、不吉な空よ・・・。――あれこそが・・・・・・地獄の空、やもしれぬな」 『とがおい』の光を見て―――魔王は世界の果てにあろう『底』を見つめ、その妻は何処までも魔王を案ずる。 その瞳に互いが見るは・・・『天』か、『底』か。 「フフ・・・フフフ・・・ッ!アハ、アハハハハ!!」 『とがおい』の光を見て、死神はただひたすらに歓喜する。 その瞳に映るのは―――生と死が入り乱れる『混沌』の色。 「綺麗な花火だ・・・なぁ、まつ」 「ええ・・・ですが、少々まつめは悲しく見えまする」 『とがおい』の光を見て、獣と暮らす夫婦は感嘆と哀愁を見つめる。 その瞳には、『優しさ』だけが秘めていた。 「フム、アレからは・・・絶対的な力を感じる」 「僕もだよ、秀吉」 『とがおい』の光を見て、覇王とその軍師は『力』を見出す。 その瞳には―――圧倒的なまでに『力』しか映らない。 「な、ななななんじゃあれは―――!!・・・ってこれ、風魔!?何処へ行く気じゃッ!!??」 「・・・・・・(アレが・・・帰ってきた)」 『とがおい』の光を見て―――翁は未知という名の恐怖に身を竦め、忍は世界の果てにあろう『天』を見た。 その瞳がそれぞれに見るは・・・『畏怖』と『守護』。 「ヒュー♪たまやー」 「け、慶次!あれは花火なんかじゃねぇーぞ!――?ど、如何かしたか忠勝?」 「・・・・・・」 『とがおい』の光を見て―――遊び人は晴れやかに笑い、葵の主従は未知という名の脅威を見つめる。 その瞳がそれぞれ捉えるは『希望』と『奇怪』――あるいは『悲観』か・・・。 「な、なんだべ?アレは・・・」 『とがおい』の光を見て―――童女は目を丸くし、荷を運ぶ足を止める。 その瞳に宿るのは、ひらすらに純粋な・・・・『賛美』の感情。 それぞれの役者達は動き出す。 物語は加速し、徐々に ―――『とがおい』へと収束していく。 †・‡・† ―――春日山――― 「――…ついに…このときがきましたか」 上杉謙信が、憂いとも微笑みともとれない曖昧な表情で甲斐方面を見つめる。 その傍らには忍のかすがが、何時ものように頭を下げて控えていた。――が、その表情は普段以上に堅く、不安に包まれているような印象を受ける。 「あ、あの…謙信様」 「?どうしましたかつるぎ?」 声を掛けた瞬間、『しまった』と思ってしまった。 何の疑問も無く声を掛けた訳でなはい。先程の空の変異を知る素振りを見せている謙信に、それについて訊ねたいと考えている。 だが・・・自分にとって問題はそこではない。 ――あの光景を見て、謙信の表情が今まで見たこともないようなものを湛えていたのだ。 それは、単なる憂いなのかもしれない。 それは、単なる喜びなのかもしれない。 それは・・・ ―――単なる悲しみかもしれない。 いずれにせよ、謙信はあの光景に気をかけている事に間違いないのは確かであった。 だから思わず、声を掛けてしまった。 「――いえ。何でも…ありません」 ――・・・ああ。嫌だ嫌だ。 心配で心配で仕様がなくて、不安で不安で仕様がなくて声に出してしまったというのに…。 自分は一体何をやっているのだろうか…。 意気地が無いにも程がある。 自分は今、とても酷い顔をしているのだと、漠然とそう思った。 そんな心境のかすがを察した、のかは判断しかねるが、謙信は柔和な笑みを彼女に向ける。 「あんしんなさい、つるぎ。ここしばらくはいくさなどありませんよ」 「…?如何いう事、ですか?」 別にかすがは戦の心配をしていた訳ではなかったが、『無い』と断言する謙信に理由を訊く。こういう事に関しては訊ねる事が出来る自分にかすがは苛立ちを覚えるが、謙信の手前、それを顔に出す事はない。 「そうですね、きっと…いまがははうえがいっていた『そのとき』なのでしょう。ただ――…」 不思議そうな表情のまま話に耳を傾けていたかすがに、ふと、何かを思い出したかのように謙信は微笑む。 「――そのまえに、きものをみたててもらいませんか?あいしのいろににあいそうなものを…」 かすがは何とも言えない表情のまま、はぁ…、と普段らしからぬ曖昧な返事をした。 |
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お久しぶり過ぎるupです。 やっと編集とか矛盾点とか直し終わったので上げてみました。 今回は前話の事件?後の別視点って所でしょうか? 全キャラ出したかったんですが・・・収拾つかなくなりそうだったんであえなく断念。 ここに来てなんか重要人物っぽくなってきたナリナリとこたさん(小太郎のこと)はこの先からが本番です。 ちなみにうちのこたさんは・・・喋ります。稀に。 ああ、やっと本題って感じになってきました(遅ェ。 次回は守護聖獣どもがでしゃばります。残ってた白虎と青龍も登場です。 |